不死身のあかちん

あかちんのしっぽあかちんは昨日ずっと、静かに横たわり私達にあまり手をかけさせなかった。ただ、最期の瞬間は身体を大きくよじらせて、「あーっ」と鳴いた。後足にぎゅっと力が入り、相方の親指に引っ掻き傷を作って彼なりの生への執着の印を残した。そして、満足そうにモミモミをして、それから息を引き取った。1997年我が家に兄弟2匹でやって来た。2匹とも疥癬がひどく、頭にマークロキュロム(赤チン)を塗られた方をあかちん、頭の毛を剃られてそこだけ毛の無い猫「スフィンクス」みたいにシワシワになってる方をスジャータと名づけた。


2匹ともエイズキャリアで、病気がちだった。ともに穏やかで人間大好きな猫だった。スジは長生きできずに1年ほどで亡くなった。その後あかちんも具合が悪くなって一時は死の淵をさまよったこともある。でも2日間ほどの入院で復活し、以降とても元気になった。だから私は「不死身のあかちん」と呼んでいた。目を見つめるだけでゴロゴロ言い、抱っこすれば鼻をスリスリこすりつけてくる超甘えん坊だった。忙しいときは「ウザイ」と思うくらい引っ付いてくる困ったチャンだった。生まれ出でれば誰しもに平等にやってくる死は、頭で理解していてもやはり辛いものに他ならない。今はただ、アカチンの冥福を祈るばかり。写真は、あかちんの特徴だったシッポ。このクランク型のシッポを撫で回すのが私は気に入っていた。曲がり尻尾や鍵シッポほど可愛いものは無いね。