クロパパの最期

お前だと思わなかった。
金曜日、忘れ物を取りにお昼に家に帰った時、近所をフラフラと歩く黒猫を見かけた。
最近よくご飯を食べにくる野良の黒猫に似ていたから、車から降りて駆け寄った。
ほんの数メートルの距離を時間をかけて、足元がおぼつかない危なっかしい歩き方だった。
相当弱ってる・・。もしかして・・。
捕まえられそうだったけど、近所の裏庭に入ってしまったのであきらめた。

ご飯を食べに来るだろう、と、土曜日捕獲機を仕掛けることにした。
朝、起きるのが遅く、相方に9時ころ捕獲機を裏庭においてもらう。
何度見に行ってもかかっていない。
ふと、捕獲機の横の茂みを見たら、黒い躯が横たわっている。「くろ?くろ?」声をかけた。
身動きしない。
既に冷たくなっていた。

昨年保護した子猫たちのパパ?
いや、最近来る黒かな!?
抱っこして顔をみても、わからない。でも表情は安らかだった。そして重い。
どっちにしても悲しい・・。悲しい・・。
死に場所を我が家のご飯置き場の隣にするなんて、うちが大好きだったんだね・・と声をかけてそのそばに埋めることにし1た。

今日、死んだのがクロパパだと判明した。
夜、野良の方の黒がご飯を食べに来た。

思えば、1週間前、リビングの窓に近づいて、ニャーと鳴き、「入れてよ、おばちゃん」と言っているようだったので、網戸を開けて「いいよ」と言ってみた。でも、上がって来てはくれなかったけどね。そんなことが何度かあった。挨拶が楽しみだった。
保護した黒猫姉妹と同様、人懐こいタイプ。何度か頭を撫でたよね。もう少しで家猫になれたかも、なのにね。
不調を訴えていたのか、事故なのか、何か悪いモノでも口にしたのか・・。

でもね、家の裏庭を選んでくれてありがとう。
埋めたところに、アジサイを植えるよ。きっときれいに咲いてくれるよね。
助けられなくてごめんよ。
クロパパ・・。