これはバッタくん

先日たまたま通りかかった多摩センター付近に開発された高台に立つマンション群のために整備された町並みが、とても気に入り今日また少し歩こうと夕方子供と相方と散歩がてらでかけてみた。
景色も良く、車の進入できない歩道を広く取り、温かみのあるレンガ(ブリック)をしいている。なだらかな傾斜を少し歩くと、かわいらしい公園に遭遇した。水のみ場もあったから、遊んだ後、手を洗おうと近づくと、なんだか違和感を感じる水溜りがあった。
近づいて覗くと、セミが1匹沈んでいた。あぁ、かわいそうに。と取り出し、もう手遅れだけど木の根元に置いた。

間もなく、小学生の子供が3人公園にやってきた。見ると手には生きたせみ。何をするのかと思ったら、男の子2人がせみを水に漬けた。「何してるの?」と声をかけると「セミって泳げるのか確かめる」という。
「そっか、でも、きっとせみはおぼれちゃうよ。おぼれると苦しいよ」と伝えるとセミを自ら出して今度は放り投げて遊び始めた。心が暗くなってきた。
もう一言何か言おうかな、と思っていたら、母親が参上し、携帯を操作しながら、ほとんど気持ちは入っていない声ながら「いじめないでよ。かわいそうだよ。水につけたの?○○も水にいれるよ」と注意をした。

ほっとしたのも束の間、今度はビニール袋を手に持ったやはり小学生くらいの男の子が一人でやってきた。水のみ場があくのを待っていたようだ。ズンズンと例の水溜りに近づき、袋を逆さにしてセミを水に落とした。

え?一度ならず2度までも?その男の子はちゃんとセミが水に沈むまで見届けるようだった。事が済むとビニール袋を植え込みに投げた。
ごみ捨てちゃだめだよ!、と思わず声が出た。「×××置いただけ」と言い訳をしたので捨てちゃだめでしょ?と繰り返した。ビックリした男の子を尻目に、セミも拾い上げた。良かった、まだ生きていた。

きれいに整備された、住み心地よさそうなマンション群、でも、なんだかちょっと人の気持ちが綻んでいるのかも?と悲しくなった。

好奇心があるのも分かる、良いことも悪いことも「やってみたい」と思うのも分かる。でも、そういう行動を「大人は見ているよ」と示したいと強く思った夕べでした。